地下の“大穴”で探求──宇宙になぜ、何かがあるのか?: 「ハイパーカミオカンデ」プロジェクトの射程

東京大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が主導する国際共同研究プロジェクト「ハイパーカミオカンデ」。その中核的研究のひとつは、加速器で生成したニュートリノを用いて宇宙誕生の謎に迫ることだ。2028年の観測開始に先駆け、その全体像をレポートする。

ノーベル賞が生まれうる場所

「ハイパーカミオカンデの実験が成功した場合、ノーベル賞は一体誰に授与されると予想されていますか?」

そう質問すると、多くの科学記者やサイエンスジャーナリストが集まっていた会場に、笑いが広がる。高エネルギー加速器研究機構(KEK)とJ-PARC(大強度陽子加速器施設)が2025年に共催した、「ハイパーカミオカンデプロジェクト」の記者向け施設見学会での出来事だ。

もちろん、その場にいた研究者も記者も、科学者がノーベル賞のために研究しているわけではないことをよく知っている。1965年にノーベル物理学賞を受賞したリチャード・P・ファインマンの「わたしはノーベル賞が何なのか、どんな価値があるのかよくわかっていません」というコメントを引用するまでもない。

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WIRED, MEDIA森 旭彦WIRED, works